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山本勘助の最後を描いた大首絵の傑作である。矢を数本負ってなお血にまみれて立つ壮絶な姿である。この軍師は、机上の理論だけでなく実際に戦った。命を賭けた戦いであれば、単なる理論だけでは通用しない。実戦に裏打ちされた確固たる理論でなければならない。理論を実践した英雄、それが勘助であった。生死の狭間を常に意識しているから、勘助は仏道にも帰依し、法名を持っていた。兵法に命をかけた勘助は永別の地を川中島にとどめる心にくい演出となってその人生に終止符を打ったのである。
勘助の異風を的確に表現し、写実主義を追及する国芳の、本シリーズでも特に秀逸な作品である。
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