戦国史上数ある合戦の中で、もっとも有名で激烈、しかも劇的な戦いといえば『川中島合戦』である。にもかかわらず信憑性の高い史実書は極めて少ない。代表的なのは「甲陽軍鑑」と「川中島五戦記」であるが、前者は武田方に、後者は上杉方に都合のよいように書かれ、史実性が確かとは言い難い。
江戸時代にも川中島合戦ブームが起こり、その都度、前記書をはじめ多くの史実書や軍記、絵本などが版木本として出版された。それらをベースに講談、歌舞伎、浄瑠璃などが演じられ大いに人気を博したようである。そのブームは当時技術的に完成し花開いた錦絵(浮世絵)のブームと重なり、川中島合戦物が大量に発行されたのである。
浮世絵は多色刷り版画として当時世界最高の技術であり、ゴッホやモネら印象派の画家たちにも大きな影響を与えたことはよく知られているが、彼らの所蔵した浮世絵の中に「川中島」があることはあまり知られていない。
川中島合戦の物語が浮世絵として残されたことは、この地に生を受けたものにとって大いに喜ばしいことである。本サイトでは、単に川中島の浮世絵を掲載するだけでなく、史実書や地元に語り継がれる内容を合わせ記載し、いまや地元文化となった『川中島の戦い』を浮世絵を通して語り継ぐことができたらと願うものである。しかし、何分にも筆者は史実にも浮世絵にも素人、多分にその理解に誤りがあろうかと思います。その節はどうぞお許しをいただきますよう、また、メール等でご指摘、ご教導を賜れば幸いです。 |